出口汪(ひろし)の国語教育
「出口汪の日本語論理トレーニング」シリーズ(小学一~六年,基礎編,応用編,計12冊)を購入した。習熟編6冊は考え中。
出口汪が気になったのは10数年前に働いていた図書館のカウンターでの親同士の会話からだった。片方の母親が以前から出口の「読解・作文トレーニング」シリーズを子どものために借りていたのは知っていた。小学4~6」のシリーズで、中学に入るその母親の子は、このシリーズで国語力がついたので、あんたとこもやるといい、とすすめていたのだ。問題を読ませて、答えさせたり、べつの紙にでも書かせればいい、とのことだった。
この「論理トレーニング」の解答は短い。小学五年基礎編から問題を紹介する。
文を組み合わせる
日本の都道府県について調べています。Aの文がBの文の————線部につながるようにして、一文にまとめましょう。
山形県
A 山形県はくだもののさいばいがさかんである。
B 山形県はさくらんぼの生産量が日本一である。
解答 くだもののさいばいがさかんな山形県は、さくらんぼの生産量が日本一である。
くわしい考え方
Bの「山形県は」、は主語です。そこで、Aの文を主語を説明する語句に変形します。「くだもののさいばいがさかんである」→「山形県は」としても間違いではありませんが、文末も「である」となるので、「くだもののさいばいがさかんな山形県は」としましょう。
と、丁寧な説明です。
愛知県
A 愛知県の県ちょう所在地(しょざいち)は名古屋市である。
B 名古屋市は中京工業地帯の中心で、製造業(せいぞうぎょう)がさかんだ。
解答 愛知県の県ちょう所在地である名古屋市は、中京工業地帯の中心で、製造業がさかんだ。
くわしい考え方
Aの文を「名古屋市」を説明する語句に変形します。「言葉のつながり」を意識すると、「愛知県の県ちょう所在地である」となります。
このシリーズの表紙には「論理エンジンJr.とは…過程で無理なく考える力と読解力を身につけられる“論理エンジン”の小学生版です!」とあります。他にも、中学・高校生、受験生、社会人向けにもいろんな本を出されています。
数年前、神戸でセミナーがあったので出かけてきました。若い熱意のある先生たちが参加されていました。そこで使われていた教材は図書館には販売しなません、と販売代行社の方がおっしゃっていました。
出口汪オフィシャルウェブサイトによると「大本」教祖・出口王仁三郎が曾祖父だそうです。
東進ハイスクールなどの予備校(2019年まで客員講師)の「現代文のカリスマ」と評されていました。2000年、教材開発・出版を目的とした水王社を設立しています。教育評論家でもあり、教育研究者でもあります。
20200629